Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

十一月三十日

二百円足らずの月給で、家に四十三円女中に三十円出して居られたものならず。

十一月三十日(木曜)曇

クロイツェルソナタをきく、なるほどトルストイが彼の小説に描いたわけと思う。私共は、あれをきき生の躍動を促さずには置かないところに深い芸術的愛を覚え、彼のように、一体に音楽が肉慾をいざなうもの、感傷に堕させるとは思われず。私共が凡人の故か、トルストイのあのややせまい宗教感が彼のつまずきであったか。

今日、きのうの女来るかと思い、仕事は頭の工合もある故しないこととして待って居た。が来ず。Aの貧乏くさいような、気前のよいような話をきき、気がのらないのだろう。考えると困るが面白し。そうやって、あっちこっち廻っていろいろな人を見て行きすぐ利害で打算する女の心持、とりに来て貰おう。仕方なし。

関さんが台所のことまでしなければならないので、夜になると、八度も熱が出、それでもほかに仕てがないから黙ってして居るとの話をきのうきき、林町の父母の、深くない、キャピタリスト或は中流人の心持をたよりなく思った。つまり一寸感動し、世界とか人類とか云っても、一人の若い音楽家の困る場合、それならと云って下女を見つけてやるとか、又税金が問題なら少しでも補助してやるとか、そう云う真のたすけとなることをしようとは思いもせず、技倆だけを楽しみ知って