Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme
五月二十三日
岩波から、Aの『ペルシャ文学史考』の検印千五百枚持って来る。彼もいろいろ仕事のことを考え計画して居るらしい。
Aの処へ、学生が返してよこした Book lover と云う本を見、大変ためになった。ギリシアの古典などでどんなのがよいか当がつかなかったものが大体判った。よむべき本は多く、実に多く、第一流を当にして選んでも、一生のうちよみ切れると云うことはないだろう。
五月二十三日(火曜)雨
陰気な日、部屋の中が暗く淋しい。終日かなり強い雨の音とあまだれの雨に包まれ、さわがしい水すだれの中に入って居るような心持。
昨日から「南路」をなおす。
ある雑誌をよみ、ジムバリストの技巧は、一々の音が、ちゃんと指から頭に照返って居るから不安がない、と云う一句をよみ、自分の作物の上にも、大いに得ることがあった。
指から――文字から頭、心、と直接な距離を保つための緊張、頭自身の明瞭さ、心の落付きと云うものが、欠けた時、人は只、文字の上を滑る。
志賀直哉氏の作品のよい処がよほど此で判った。
明瞭な、鏡のような頭脳。――どうも自分には、無数に絃を張った胸の方があるようだ。