Japanische Klassiker mit Furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme
五月十一日
何かと思うと格子の中に小僧が居、春陽堂から原稿料を持って来たと云う。二円也、
自分は、金の多少より、勿論少ないことによって起された感ではあるが、受用は人を陋しくすると云ったゲーテの言葉を身に徹えて感じた。自分から仕た仕事と云うのではなく、一寸たのまれ、ふわついた気で書き、彼方では、より以上の無良心で僅かの金をよこす。真剣な良心が働いて居ない。自分の心を思い、又先方の一通りな態度を思い、自分は深い恥辱を覚えた。もう、自分は出来る限りあんなつまらないものに、気を動かされない決心をした。小説だけ。それでいやなら、仕方がない。自分も変遷して行くと思う。十七八頃、種がなく、ペンが動かず、書くなと云われ書かない。少し自由がきくようになり、暗黙に入用があり、ものの程が分ると、さっさと書く。はっとし、もう二度とその方には行くまいと思う。今其だ。雑誌なら雑誌の程、力の入れ加減等を知ると云うことは、一方から云うと確にわるい。
五月十一日(木曜)晴
六時起床。垣の外を変な、何だか判らない呼売をして通って行く男がある。エー、ヤークレケキと云うような喉音。
渡辺氏は、博覧会に出かける。