Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にっき

日記

宮本 百合子

Lesen Sie 日記 (にっき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.285 Zeichen · 204 Bildschirme

Aozora Bunko

その為に小説を書くのはいや。どうしてもいや。あまり悲し。それ故何か他に仕事はないかと思う。きまって百円位とれる仕事はないか。自分にこれ丈の技はないか、林町で一時立替えて貰うのは自分としても容易なことだがAの平常を思うと、一層彼を悪い人間だと思わせるほか効果はなさそうにさえ思う。

真個にどうしたものか。今朝から大工が来、硝子障子を立てられるようにして行った。『女性改造』の主任が来たりし、せわしく、おまけに女中は不なれなので、一日せわしく心を使ったが、今、九時少し前、Aは床に入って眠りにつき、自分は一人片よせた机に向って此を書いて居、真面目な不安を覚える。そうとすれば、すっかり変った生活法――Aは転地をしなければいけまいし、自分もいずれはそちらへ行かなければなるまいから――でどの位入用か、精算し計画を立てなければならない。これ等につき思うこと、自分は、若しAが病ときまりでもしたら、どうかして、一日のうち幾時間かは、まるで自分の境遇に無関係なものをよみ、或は書く時間を持たなければいけない。それでないと、よくある、自己の境遇だけにかぎられて、つまり、良人の病と云うものによって知らされた人生の或一面、又は或心持、又は或事件だけに人生の見かたを定められてしまうおそれがある。