Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
捕物作家クラブの会員章のアルミニュームの十手ならあるけれど、私のうちに刀がないのは、むしろ当然ではないか。
剣道のことも、一通りは調べているけれど、名人達人を相手に決死の立合いをやった経験はない。それよりも、案外な人から、剣の話をきいたことがある。
一人は、岩崎小弥太男爵である。大金持ちの二代目三代目というと、風に柳のヒョロヒョロ型を連想するけれど、三菱財閥の総帥は、二十三貫のこの私が、圧倒されるような恰幅で、眉毛はピンと上がっていた。
「高輪の邸で、学校出の若い社員と、今でも竹刀を握ります。ゴルフもこの頃、はじめたが、とても撃剣のようには行きません」
剣道といわず、撃剣といったのも、時代が分るが、芝居や映画で、富豪といえば、型の如くニヤケたのが出てくるのは、あれは、おかしい。たまには、剣豪長者なども登場させるわけには行くまいか。
もう一人は、警視総監の西久保弘道氏だ。体重二十八貫。制服を脱がせたら、どう見ても西塔の武蔵坊弁慶である。
「総監は何流で?」
と、きくと、
「山岡鉄舟先生の無刀流の精神を学びました」
二十何年間、一日も竹刀を廃さないという隆々たる双腕を叩いてみせる。