Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
半世紀の執念
誰も見ていたわけでない、彼が白状したわけでもない。だがそう考えることが、一番筋が通るようだ。一体、あの男は、なぜいなくなったんだろうと、子供ごころに私は、ずいぶん考えた。考えて、考えて、考え抜いて、ははあーんと、ナゾをといたおもしろさが、後年、私に捕物小説を書かせる遠因になったというのであれば、これはすこぶるおもしろいが、どうも、それほどの関連はないらしい。
しかし半年間の仮小屋暮しは、いたずら坊主にはたのしかった。大ぜいの大工が、はいって建て前ができ上り、やがて、建具屋や畳屋が来た。この畳屋の親方というのが、頭はうすくなっていたが、すごく記憶のいい人で、昔話を無数に知っていた。のちに佐々木喜善氏が収集した『紫波郡昔話』や『聴耳草紙』にあるような、岩手特有の昔話を、私は毎晩、この親方にせがんだ。物語というものの魅力に、私がとりつかれた動機の一つは、たしかに、この中老の畳屋さんにある。
半世紀の執念
「昆太利物語」といったところで、今の人たちには、分るまい。第一、昆という字が制限漢字で、新聞社に、活字が、あるやら、ないやら、甚だ心細い。
だが少年の日の私は、この一冊の小説のために、やせ細るほどの思いを続けた。