Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
美人画は嫌い
そうして、ショーウィンドに飾ってあった中から、手頃なのを一枚、選り出した。
「これ、本物だろうね」
と、番頭に念を押すと、
「もちろんでございます」
と、もみ手をした。値段をきくと金二円也である。私は、さっそく買い取った。
その晩は、帝国ホテルに会合があった。浮世絵と音楽では、大先輩格の牛山充氏が来ていたので、私は、手に入れたばかりの広重を見せた。
すると、牛山氏はニヤリとした。本当は、大声あげて、吹き出したいのであっただろうが、さすがに、たしなみ深いから、ニヤリとしただけで、私に話しかけた――
美人画は嫌い
古いたとえだが、めくらは蛇をこわがらない。私は大枚二円也で、はじめて手に入れた広重を、その道の先輩、牛山充氏に見せた。
牛山氏はニヤッとして、
「広重が、好きになったとは大変結構なことですな」
と言った。そしてもう一度、ニヤリとして、「ですが、せっかく好きになったのなら、もう少し、よいものをお買いなさいよ」と、親切な言葉である。
あとになって分ったが、私がこの時買ったのは、広重の生涯の駄作……あれだけは広重も描かなければよかったと言われる六十余州の半端物であった。