Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

広重の絵

その機密に参画した川路聖謨の旅日記を読むに及んで、私の構想は、ほとんど、出来上がったといってよい。

折りも折り、神田の古本屋を漁っていて、紙屑あつかいされていたゴミの中から、一冊の「道中袖日記」をひろい出した。半紙を横綴じしたものへ、矢立の墨で書いたらしい粗末な旅行メモである。署名は「下総・馬場」とある。

この一冊は、私の構想の上に、正に画竜点睛であった。同時に私は、東海道を見たくなった。袖日記の主が歩いた道をこの足で踏み、彼が見た松並木を私のこの眼で見たくなった。編集局長に談判して、なにがしかの費用を承知させ、ドライブの旅に乗り出したのである。

広重の絵

お江戸日本橋七ツ立ち……。

あの、なつかしいメロディーに乗って、三度笠に、紺のキャハンで、日本橋をスタートするのが、本格であることは、私も知っている。

もしも私がもう少し若く、そしてもう少し、ひまがあったら疑いもなく、そうしていただろう。しかし自動車で通ってさえ東海道は大変な値打ちがあった。

この旅行の収穫は、第一に『三万両五十三次』五百十回を書かせてくれた。原稿紙にして二千枚を、最後まで、張り切って書いたのは、自分のこの目で確実に見てきた五十三次の風物のたまものと言ってよい。