Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
ヘンデルの救世主
マッコウマックであったようにも思い、メルバかカルーソーかと思う。あるいは三、四枚一ぺんに買ったのかも知れない。ともかくも、隣り近所へ気兼ねしながら、夜も昼もかき鳴らした。大震災の直後には、針がなくて妻楊枝を削ってとがらせてみたこともある。
一たん手をつけると、前後の見さかいもなくなるのが私の癖で、新聞社の給料を、毎月残らず、レコード屋へ運んだ。日蔭町で買った中古品のマントを着て、七円五十銭の家に住み、酒も煙草もやめてしまった。待望のレコードが入荷した月などは、月給の全額よりもレコード屋の払いが多くなる。
家計は全然、家内の収入に、おんぶした。四人の子供を育てながら、女学校の教師をして、十幾年の間、よくもまあ、バックアップしてくれたものである。
ヘンデルの救世主
道楽とは、道を楽しむこともあるが道に落ちこむことでもある。どうしても、独り合点になってくる。
友人のひとり息子が、女道楽にこりはじめて、その父親が私に相談に来たことがある。私は言下に、
「それは、良い道楽を知らないからだ。差し当り、レコードの趣味でも覚えさせたらよいだろう」
ご苦労さまにも、その父親を案内して、十字屋あたりへレコードを漁りに出かけたものだ。