Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
腰弁ぐらし三十三年
今もあるならば、万難を排しても食べにゆきたいと思うが、果して、昔のように舌鼓が打てるかどうか。
いや、今回もまた、食べものの話になってしまった。
腰弁ぐらし三十三年
去年から、半年あまり臥床していた時、
「ようし。今度全快したら、東京中のうまいものを食べ歩いてやる」
と、見舞の人に言ったそうである。よくは記憶していないが、あるいはそんな気持があったのかも知れない。しかし、いくらかでも動けるようになってみると、まさか、食べ物行脚というわけにもゆかない。
私の生れ故郷は、海から三十里も引っこんでいた。魚は馬の背で運ばれるが、イワシの目は赤いものと心得ており、マグロやカツオの刺身はピリリとして、少し余計にたべると、酒に酔ったように、ふらふらする。そんな時は、桃の葉をすりつぶして呑むのがよろしい。単なるマジナイではなくて、杏仁か葉緑素か、何かの成分があったのだろう。不思議に、コロリと効いた。
中学を卒業する年に、金田一京助君に招かれて、初めてカレーライスを食べた話は、この前に書いたが、あれから四十年ほどたって、金田一博士の還暦祝賀が開かれた時、私は立ってその話をすると、席にいた辰野隆博士が腹をかかえて、おもしろがった。