Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
軽いチフスの後で、まだフラフラしていた二十八歳の母が、一人でタンスを運び出したり、目の悪い祖母が杖と手ランプを持ち出して、後々まで話の種を残したが、父は村人たちに説いて、消防組を組織させ手押しポンプも購入させた。父は、のちには村長をつとめたが、当時は助役だった。
さて、問題は原因である。物置小屋に火の気はない。燃え草としては絶好のよく乾燥したかいばはあるが、馬がマッチをするわけはない。
とにかく雨露をしのがねばならぬから、ちっぽけなバラックを急造し本建築は五月から十一月までかかった。ところで当時、若い作男が住みこんでいた。二十歳すぎで、もちろん独身だったが、建築工事が始まると、いや、もう、働くの働かないの、全く死にものぐるいである。誰も何ともいわないのに、夜を日に継いで働きつづけ、そして建築落成の日に、ふっと姿を消してしまった。北海道へ渡ったとの噂もあったが、それすらも、はっきりとは分らない。
なにしろ、若い男である。ひざッ小僧を抱いて寝てばかりも、いられない。夜風とともに出て行った。夜明け近くに戻ってくると、戸がしまっている。ちょっと一休みと物置小屋へはいり、一服つけている間に、寝込んでしまったのでは……。