Japanische Klassiker mit Furigana
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にんきょうにとうりゅう
任侠二刀流
国枝 史郎
Lesen Sie 任侠二刀流 (にんきょうにとうりゅう) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 224.569 Zeichen · 451 Bildschirme
船首に突っ切られる波の穂が、白衣の行者でも駛るように、灰色の海上で踊っている。陸は見えない、どっちも水だ。三隻ながら駸々と、薩摩へ向かって駛っている。
だが西川正休は、その叫び声を止めようとはしない。
「拙者の観察間違いはござらぬ! 颶風が起こる! 颶風が起こる! 海が湧き立つ、大波が起こる! 危険でござる、危険でござる! 早く港へおはいりなされ! そうでなければさらに一層、沖へ向かって突進なされ!」
「何を譫言、求林斎め!」太郎丸笑って相手にしない。「宗春殺しの一件では、なるほどお前の観察が、物の見事に中ったが、今度ばかりはあたるものか! 海事は俺にも経験がある。今日は天気だ、上天気だ!」
「颶風が起こります颶風が起こります!」西川正休主張を曲げない。「拙者天文では専門家でござる。経験と学術とで申すのでござる。必ず起こる、素晴らしい颶風が! ああそれももうすぐだ。間に合うまい、間に合うまい!」だが太郎丸は信じなかった。
「何を馬鹿な! 何を馬鹿な!」
しかしその言葉をハッキリと裏切り、季節違いの生温い風が、北の方から吹いて来た。
ゴ――ッと烈しい音である。