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Japanische Klassiker mit Furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

私としては、憲兵隊へ引っぱられるような覚えもないし、おほめにあずかるほどの心当たりもない。とにかく、応接間へ通ってもらうと、

「実は、ラバウルの司令官今村均大将が、陣中で読みたいから内村鑑三全集を送れと言って来ました。さっそく発行所の岩波書店に連絡したが一冊もない。神田、本郷の本屋街を、軒並み探したが駄目である。この上は、誰か蔵書家に頼むほかはないといっているところへ、金子少将が来合わせて、野村胡堂氏が持ってるはずだということでした」

金子少将が、私の書架に内村鑑三全集のあることを、どうして知っていたのか。それは分らない。私がしばらく考えていると、

「如何でしょう。まげておゆずりを願いたい」

さすがに、軍の命令だと高飛車なことは言わなかった。

私としては、お安い御用と言いたかったが、実はこの全集は私の所有であって、私の所有でない。昭和九年に、東大在学中に病死したひとり息子の一彦が、死の直前まで愛読した遺品である。ページのところどころには、鉛筆で彼の書入れがある。子供を死なせたことのある父親なら、私の気持は、分ってもらえると思う。

一両日、考えさせてもらうことにして、夕刻、外出先から帰った家内に相談すると、