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Japanische Klassiker mit Furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

一体、いかなる範を垂れるのかと、私も、期待をもって見ていると、幕があがって、杉贋阿弥氏の斎藤実盛が長ばかまをはいて登場した。

一体、贋阿弥という人は、背がすこぶる高くない。それが、長ばかまというのであるから、足がどこにあるやら分らず、握って構えた両の拳が、袖から半分も顔を出さない。どうにも我慢がならなくて、高く朗かな笑い声を、私のうしろで立てた人がある。ふりむいてみると六代目菊五郎である。

贋阿弥氏には、申訳ないが、ここで氏の名前を持ち出したのは、何も、特別に下手糞だったというわけでない。それどころか、この一座では、抜群の名優だったのである。つまり、どうにか格好のついたのは、贋阿弥氏だけといってもよく、その他の先生方に至っては、これはもう、お察しを願うほかはない。

中村吉右衛門は、あの通りの人柄だから、六代目みたいに大っぴらに笑わぬ代り、まことに苦り切った顔で、笑いを噛み殺すのに骨を折っている。坂東三津五郎は、なんとつかずにニヤニヤしているし、守田勘弥は、つつましく下を向いて、口を押さえていた。あの人々の、くるしそうな格好は、五十年後の今日でも、ありありと眼に残っている。