Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
辰野隆博士の言葉をかりれば、「先々代の名人小さんのような人」ということである。アメリカの興行家が、巨万の小切手を眼の前に置いても、山裾の町から決して出ようとせず、素朴な農民たちと、膝を交えて暮している。そのくせ、町の小さな寺院で、彼がバッハ祭を開けば、世界一流の楽人が、手弁当で馳せ参ずるというカサルスである。
佐藤君はカサルスに逢って「日本へ来ませんか」といったそうである。
「行きたいけれど、少々ばかり遠すぎる。それに、アメリカ行きを蹴飛ばして、日本へだけ行くのも義理が悪い」
と、いうような返事だったということである。それから佐藤君は、私の噂をしたそうである。東洋の一作家が、何万枚かのレコードを溜めこんでいるという話は、カサルスをすっかり面白がらせたらしい。
「一度もあったことのない男、恐らくは生涯あうことのないその作家に、これを持っていってやってくれ」
と、カサルスは、自分の写真に署名して、佐藤君に託してよこした。私は、佐藤君から、それを受けとると、返礼に小さな絵を贈った。寺崎広業筆の海棠の花である。
私は、ひとの肖像を自分の部屋へ掲げることは、好きでない。