Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
社会党の委員長、鈴木茂三郎君が入社したのも、私の部長時代だった。貧乏くさいくせに小意気で、才気煥発で、誰にも愛される好青年だった。私は、鈴木青年から、恋物語をきかされたような気がしてならない。あるいは夢だったかも知れないし、夢でなかったかも知れない。とにかく、寂しく優しかった先夫人を、私は幾度か見たはずである。
それから三十数年たって、昭和二十四年の秋に、われわれ捕物作家クラブが、浅草の花屋敷に「半七塚」をたてた。除幕式には、当時の総理大臣吉田茂氏や、広川弘禅氏から花輪が来た。捕物帳と政党とは、何の因縁もあるわけはないが、保守党の側ばかりが並んでは、どうも公正を欠くように見える。何とかならないか……と、クラブの幹事から相談があった。
除幕式の日はせまっていた。私は、長い間、交渉のなかった鈴木君に、久しぶりで電話をかけた。
鈴木君は、すぐに電話へ出た。そして、私の言葉が終るか終らないかに、
「ああ。いいとも。ぜひ、僕の花輪もならべてくれ。僕も銭形平次の愛読者の一人だよ」
そういう鈴木君の声は、昔ながらの友情にはずんで、受話器の中から、ピンピンと、はねかえって来た。