Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
盛岡で一番賑かな本町の通りを歩いていると、突如、私の後方で、カン高い笑い声が爆発した。絹糸草の若芽のように、細くて艶っぽいソプラノが、一斉射撃のように襲いかかったのである。
「天下の豪傑に向って何を笑うか」
と、にらみつけてやるつもりで振りかえると、何とそれは、一個小隊ほどもある芸妓の一群だったのである。狭い道幅をいっぱいに不規則な横隊をつくりながら、私を指さして笑いこけているのである。
今になって考えれば、笑う方が当然である。ズボンの尻の破れたのを、カンジヨリで結んでおいたのが、歩いているうちに切れたと見えて、十七歳の少年の肉体が、まる見えになっていたのである。
私は、妙にカーッとなった。前列にいた三人ばかりが、いやに美人に見えたのが、よけい反発心をそそったのかも知れぬ。
「今に見ろ。二頭馬車で、お前たちを買いに来てやるから――」
不倶戴天といった気持で、私は心中に歯噛みをした。しかし、その思いを果たさないうちに、馬車は自動車に駆逐され、今日では皇太子さまのご結婚式でもなければ、馬車などというものはお目にかかれない。それにあの日の彼女たちも、かりに生きていたとしても、私と同様、八十に手のとどく年配になっているだろう。