轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
「サンデー毎日」1934(昭和9)年6月3日~10月28日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,597 字 · 253 页
行き詰まった文化が火葬されるのだ。煙のなかに去りゆくものは、祖先のまぼろしと豪奢な一時代の夢だった。戦は、文化の野火である。焼地から萌えだす草は、やがてすべて若々しくて生命が新しい。
「なるほどなあ」
これだけの事実に直面してから、彼は、これだけの呻きをもらした。
縁の下に、腕拱みをしたまま夜が明ける。それから、悄然と、どこへか落ちて行った。
だが、その姿には悔いの影はなかった。洗い張りをした袷のようにさばさばとした顔つきだった。
品川湾から幕府の軍艦に便乗して、江戸を離れた。艦に集まった幕軍の残兵は、
「函館へ、函館へ」
と口々に云って、なお、再び江戸の旗本生活や伝統の再建を夢みていたが、露八は、その朝の太陽を仰いで、
「あなたまかせだ」
と、つぶやいた。
あなたまかせの幕艦は、北をさして函館へ行くつもりだったが、風波に遭って、駿河湾に漂着してしまった。露八は、清水港から静岡へ行った。
静岡へは、やがて徳川亀之助以下、譜代の旗本や御家人たちが、続々、家財妻子とともにながれこんできた。武家階級に附随していた商人や、俳優や、職人や、芸妓や落語家にいたるまでも、水の低きに落ちるように流れて来て、二、三年もそこに居着くと、またしても江戸人種は、性懲りもなく、江戸前の飲食店だの、団十郎芝居だの、千種の腿引だの、緋羅紗