轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

「サンデー毎日」1934(昭和9)年6月3日~10月28日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 125,597 字 · 253 页

青空文庫

二

そういう感動の燃え方が、どうして噴出してしまったのか、彼自身にも、わからなかった。

「まあ、俺にまかせろ」

「まかせたら、どうしてくれる。断わっておくが、俺は、もう首ッ玉なんぞ、とうに、ないつもりなんだ」

「わかったよ」

持て余し気味である。子どもへ頷いて見せるように、なだめすかして、

「宍戸」

「はっ」

「伍長の河合忠太郎を呼んで来いっ」

突として、吩咐けた。

二

河合忠太郎はすぐに来た。色の小白い美男子である。じっと、桂小五郎の眼がその顔へゆく。

尋常な声で、

「君か、この男を、一昨夜ぶちこんだのは」

「左様でございます」

「罪状は」

「密偵と睨みました」

「だれが」

「その露八と申す奴」

「ふーむ……。誰が、訴人した?」

「そやつは、一ツ橋家の旧臣なので」

「それだけか」

「まだ、動かない実証もつかんでおりまする。この通りに」

一束の手紙を出した。桂は、ぺらぺらと封だけを繰っている。驚いたのは露八である。どうして自分の家の用箪笥の底にあったものが、奇兵隊へ渡っているのか。

もとより、密偵か密偵でないか、見ればわかる。けれどその中には、弟の八十三郎からだの、榊原健吉からだの、江戸の親類、旧友などからも、雑多な消息をよこしている。