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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

吉川英治『三国志(一)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志、三国志。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 309,839 字 · 622 页

青空文庫

盧植は、にわかに、なつかしく思ったとみえ、すぐ通せと命令した。もちろん、連れている兵は外門にとめ、二人の部将は、内部の廂まで入ることを許してである。

やがて玄徳は通った。

盧植は、ひと目見て、

「おお、やはりお前だったか。変ったのう」と、驚いた目をした。

「先生にも、その後は、赫々と洛陽にご武名の聞え高く、蔭ながらよろこんでおりました」

玄徳は、そういって、盧植の沓の前に退がり、昔に変らぬ師礼をとった。

そして彼は、自分の素志をのべた上、願わくば、旧師の征軍に加わって、朝旗のもとに報国の働きを尽したいといった。

「よく来てくれた。少年時代の小さな師恩を思い出して、わざわざ援軍に来てくれたとは、近頃うれしいことだ。その心もちはすでに朝臣であり、国を愛する士の持つところのものだ。わが軍に参加して、大いに勲功をたててくれ」

玄徳は、参戦をゆるされて、約二ヵ月ほど、盧植の軍を援けていたが、実戦に当ってみると、賊のほうが、三倍も多い大軍を擁しているし、兵の強さも、比較にならないほど、賊のほうが優勢だった。

そのため、官軍のほうが、かえって守勢になり、いたずらに、滞陣の月日ばかり長びいていたのだった。