Japanische Klassiker mit Furigana
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ねんじゅうぎょうじおぼえがき
年中行事覚書
柳田 国男
Lesen Sie 年中行事覚書 (ねんじゅうぎょうじおぼえがき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 135.005 Zeichen · 262 Bildschirme
こういう事にも何か深い意味があるように、私などは考えているのである。
夜あかしの祭とは言っても、そうこみ入った儀式があるわけではなかった。風呂から上って来て全員が揃うと、やがて定めの作法によって唱えごとがあり、または経文が読まれるが、初夜すなわち十時頃にはもう終って、神酒を下げて少しずつ戴き、ゆるりと一同が食事をしてもまだ夜中にはならない。それから夜明けまではただ雑談に時を過して、睡ってしまいさえしなければよかったのである。かねがね相談したいと思う村の問題を、この晩まで溜めておくこともあったろうが、それも片づいてまだ残る時間には、興味あるいろいろの世間話、または何度も聴くような昔話もこの時に出て、忘れていた者は思い出し、若い連中は新たに覚えるのであった。
以前は人がこの私の話のような、悠長なことを話すのを嘲って、そんな話は庚申の晩に聴こうなどという言い草のあったのを見ると、庚申の晩の話は、相応に悠長なものだったのである。しかしこうした自由な時間のあったお蔭に、人は物わかりのよい話好きになり、また眼の前に入用のない事物や諺を覚え、一方にはまた人に耳を傾けさせる話術が進んで、国語の利用が国民の端々に行き渡ったのであるが、もちろんこれは庚申の信仰が、いささか衰えかけてからの副産物であった。