Japanische Klassiker mit Furigana
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ねんじゅうぎょうじおぼえがき
年中行事覚書
柳田 国男
Lesen Sie 年中行事覚書 (ねんじゅうぎょうじおぼえがき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 135.005 Zeichen · 262 Bildschirme
今でも年をとって容貌の少しも衰えない人を見て、人魚でも食べたのかと戯れに言う者があるように、この肉を食べると長命で、かついつまでも年を取らずにいられるというのが、中世以来の言い伝えであった。この人魚の料理を物蔭から覗いていた人々が、疑いの心を抱いて食べずに逃げて還り、たまたま無邪気にそれを食べた一人だけが、いつまでも老いず死なずにいたという話、これがまた各地に広く行われている。
その中でも多くの書物に載せられたのは、若狭の白比丘尼という女であって、八百歳になるまで、美しさは娘のようであったと言われている。これは父親がこの人魚の肉を一きれそっと持って還って、着物を着替えるときに畳の上に取落したのを、まだ這いまわるほどの小さい児であって、何も知らずに食べてしまったのであった。そうしてこれがまた今まで見たこともない人から、庚申の晩に招かれて行って、貰って来たものだったという話になっているのである。
つまりは遙か南の喜界島においては、二十三夜講の晩の出来事として語り伝えている奇談が、内地では庚申の話となって、諸処方々に分布しているのであって、島にはまだ庚申の日に夜籠りの祭をする風が始まっておらぬらしいから、あるいはこの二つの講がもとは一つだったかという想像も成り立つのである。