Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
金時計
その場合、私は少しのためらいもなく、新聞記者を選ぶだろうということを幾度か筆にも口にも、公言してきた。
今はどうだか知らないが、私の知る限りの新聞記者は、威勢がよくて、楽しくて、そして多忙で貧乏だった。
新米記者のころ、私は時計が買えなかった。月給二十円からスタートしたのでは、その後いくらか上がったとはいえ、そこまで手が回りかねるのは無理もなかろう。
「野村君は、時計、ないのか」
「ああ、ないよ」
「そんなものは持たぬという主義なのか」
「無茶を言ってはいけない。時間を気にしない新聞記者があるものか」
「それでは、ボクがやろう」
「くれる?」
「あははは、そんな妙な顔をするな」
そう言ったのは、海軍省の記者クラブで、懇意になった国民新聞のF君である。
「今日は、持っていないから、明日、持ってきてあげる」
さて、明日になると、F君は、私に、妙な札をくれた。時計だと思ったら、変な紙キレだったので、ちょっと驚いたが、それが、質屋の質札だとは、私にも見当がついた。
「ボクの兄貴がねえ、アメリカ土産に、素晴らしいやつをくれたんだ。持つべきものは、気前のいい兄貴さ。ところで、今までのやつはこの通り、お蔵にはいっている。