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Japanische Klassiker mit Furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

「それは、差し上げた方がいいでしょう。一彦も、いやとは申しますまい」

という。それでは、と、翌日すぐに参謀本部へ電話をかけた。間もなく、全集は、参謀副長が携えて、南太平洋をラバウルへ飛んだ。

やがて、終戦となり、今村大将は、一たん内地へ護送されたが、部下を残して、自分ひとり日本へ帰るに忍びないと、自ら進んで、再び南方へ虜囚として戻って行ったという話をきいた。

その後、再び日本へ送られ、巣鴨拘置所へ入った大将は、思いがけない手紙を私によこした。

「……内村鑑三全集を寄贈していただいたことを知りました。飛行機が海に落ち、参謀副長も戦死して、ついに自分の手に入らなかったことは残念であるが、御芳志は、幾重にも御礼を申上げる……」

やがて、巣鴨を出た今村氏は、当時珍しいウィスキーを手土産に私の家を訪ねて来られた。私は、そのウィスキーを飲んでしまうのが惜しくて、何時までも固く栓をしたまま置いてある。

ラバウル十万の将兵を無謀な玉砕に追いやることなく、地下に潜って百年持久の計を樹て、貴重な生命を救い得たのは、戦陣の中に、内村鑑三全集を読みたいと考えたその魂であったと思う。