Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
役得のない職業
私は、社の同僚と、政友会本部につめていたが、先輩の川口清英君と、辰巳豊吉君は院外団になぐりとばされた。私だけが無事だったのは、逃げ足が早かったためでない。まだ駆け出しの新米だったので、彼らの眼中になかったのであろう。
急いで本社に駆け戻ると、まさに群衆が包囲して、礫の雨を降らせている真ッ最中であった。ケガをしても、つまらぬから、一応、印刷工場へ逃げこんだが、このあとの、勤務評定はユカイであった。
握り太のステッキをつき、大言壮語していたのが、テーブルの下に、はいこんだり、小さな給仕や女の子が、窓ガラスのバリバリこわれるのを「ストライク!」と、おもしろがったり、いざとなった場合の人間心理は、のちに小説を書くようになって、私には、なかなか参考になった。
政治部を卒業してからは、経済、社会、文芸と、あらゆる記事を書きまくり、あらゆる面の編集をした。書かなかったのは、相場欄の記事だけである。私が、もう一度生れ変って、新しく職業を選ぶとしたら、文句なしに新聞記者を選ぶだろう。
役得のない職業
さて、私自身であるが、月給二十円也の青年記者が、どんな身なりをしていたか、ともかくも入社がきまると、一生にただ一度の借金を叔父に申しこみ、金五十円也で、とりあえず紋付の羽織と、ピカピカのはかまを新調し、そのころ最新流行の、セルロイド