Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
の雪駄を奮発した。
明日になるのを待ちかねて、意気揚々と出社すると、安村省三がニヤニヤして、
「キミ、そのツルツルの雪駄だけは、よせよ。給仕が、たまにはいてるけれど、人間が軽薄にみえて、よくないね」
私は、一ぺんにペシャンコになった。雪駄はよしたが、和服はそのままで、結局三十三年間を押し通した。洋服というものは、六十をすぎてから、国民服で味を覚え、戦後は逆に、和服と全然、手を切った。年よりには、この方が便利でいい。
あらゆる職業の中で、新聞記者ほど、役得のないものはない。と言ったら、驚く人があるかも知れない。現在では、よほど、分って来たけれど、昔は、そんなことをいうと、反語だと思われた。壮士芝居や小便映画のデッち上げた幻影が、よくも、世の中に行きわたったものである。
遊び盛りの若い記者が、社からもらう僅かの車馬賃を、水増ししたりなんぞするのは、むろん、役得の中にはいらぬ。外部との、仕事の上の接触では、各社一緒に、ご馳走になるくらいが関の山で、キャッシュなどを見せられると、ふるえあがったものである。
社会部長をやっていた頃は、盆暮に小包郵便が来たこともあるが、私が帰宅するまでは、家内に決して手を触れさせず、差出人をたしかめてから、一々、返送させたものである。