Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
福住九歳上宿也。もし湯元へ泊り候えば半道の回りなり。それより段々。九丁ばかり登りて忍びの滝……」
運転手は、田道を通るのを、いやがった。それを、ようやく、頼みこんで、三枚橋から一杯水、いざり勝五郎の初花の滝と、あちこち見物して、元箱根町で中食する。アユのフライが、馬鹿にうまかったことを今でも覚えている。老妻の手控えによると、小田原からの自動車賃が十一円。中食代が一人二円。女中へのチップが大枚五十銭也。
ここで、自動車を乗りかえる。県境を越えると、急に道路の具合が変った。工事のやり方が違うのだろう。自動車にのっていて、それが分るのだから、日本の割拠主義は、大したものだ。そんなことを感じながら、峠を下って三島へはいる。日本総鎮守。三島明神の鳥居の前まで来て、はっと思った。
何故はっと思ったかというと、これは、確かに初対面の風景ではないのである。何度も何度も見たことのある非常に心安い景色なのである。なつかしい郷里の伯母さんにでも、会ったような感じなのだ。
何べんもいう通り、私は東海道は初めてである。汽車以外で通ったことは一度もない。それが、何故、こうなのであろうか、私は、しかし、すぐに分った。