Japanische Klassiker mit Furigana
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ねんじゅうぎょうじおぼえがき
年中行事覚書
柳田 国男
Lesen Sie 年中行事覚書 (ねんじゅうぎょうじおぼえがき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 135.005 Zeichen · 262 Bildschirme
立石の種類は大よそ数がきまっている。地方によって少しずつちがい、また存外に似ていることもある。東京のまわりに多いのは馬頭観音、これなどは西日本の方ではあまり見かけない。全国に亙って最も普通なのは石の地蔵尊、庚申さんという石の塔、それから道祖神がいろいろあるがこれもたいていの土地で知らぬ者がない。
文字を知る人が多くなってからの石は、大きく立派に名を書いて彫り付けてあるが、古いものはただ浮彫り線彫りの像であり、または何もないただの石もあるので、ちょっと見ただけではまちがえやすく、土地ではこれを何というかを、聴いて知るの他はないものも多い。こういう小さな石の建造物が、幾つか同じ処に並んで立っているのである。村を出離れようとする路の三つ股、野を横ぎって行く路の曲り目、または坂の口や峠の頂上などにも、時々はこれとよく似た石の集合があって、そういう地点を繋いで見ると、だんだんに古い頃の交通路が、はっきりとして来るように思われる。年号と月日を刻み入れたのもこの頃は少なくない。郷土の歴史というものがこれによって、片端は判って来るだけでなく、村から外へ出て行こうとしなかった住民の大部分にとっては、実際これがまた一種の心の里程表でもあったのである。