Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

玄関をはいってゆくと、見上げるような木馬があり、棚には、豆粒ほどの馬が、古今東西、至るところの郷土玩具をそろえてある。

「集めた動機は?」

「むろん、ウマ年だからです」

中年までは、ピンとはねたドイツ式のヒゲだったのが、のちには、先を刈りこんで、ヒゲまで円熟味を見せていた。

「牛飲馬食といいますがね、食べ物には趣味はありません。食い道楽というのは、つまり胃の腑が弱いから、よりごのみをするわけで、尾崎紅葉君なんぞ、食い道楽から、とうとう、病気になってしまった」

この点は、同じウマ年の私も、大いに共鳴した。私だって大抵のものは、物怖じしないで、いくらでも馬食する。

「あなたは、引越しはきらいですか」

突然、そんなことをきかれた覚えがある。私が返事をしかねていると、

「私は、十年間に、ちょうど十回、引越しましたよ。こうして、自分の家を持つと、引越しする権利がなくなった。仕方がないから、家の中で、引越しをしています」

引越しを、権利だというのも、おもしろいが、家の中の引越しは、一層おもしろい。机と椅子と本箱を持って、今月は向うの部屋、来月は二階の座敷と、しょっちゅう引越して歩くんだという。