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Japanische Klassiker mit Furigana

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こどうひゃくわ

胡堂百話

野村 胡堂

Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme

Aozora Bunko

夢中になって、読みふけっている最中に、ひょいッと、取り上げられた口惜しさ、腹立たしさ。私は、その後ほとんど半世紀の間、この一冊を、夢にまで追いかけたものだった。

私の父は、田舎の村長として、その生涯を終ったが、正規の学問をしなかったことが、よほど骨身にこたえたのであろう。本と名のつくものは、手当り次第に買い集め、明治初年に特有の、日本紙に活字で印刷した蔵書の山が、土蔵の二階に一ぱいあった。

無口で、無愛想で、人間ぎらいだった私は、まだ学校へも上がらないころから、土蔵に立てこもるくせがついた。

「長一がいないよ。また土蔵だろう」

母は、私の姿が見えないと、必ず土蔵へ捜しに来た。四書五経から軍記もの。さては絵本太閤記から黒岩涙香の翻訳小説まで。雑然と積み上げられた中で、私は、十になり、十一になった。

心配したのは父親である。雑書の乱読が、てきめんに効いて、尋常小学校で二番の私が高等科では、六十人中の五十七番まで下がったのである。父が一大決心を固めたのも無理はない。

父は、町から古本屋を呼んできた。そして小説や草紙など柔かいものを、全部売ってしまったのである。