Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
前年の火災にも焼け残った白壁の土蔵へ、何回も上がったり下りたりして、大風呂敷に包んだ古本屋は、幾度にも分けて、町の方へ運んで行った。私は泣きながら、はだしで追っかけて、北上川の渡し場で、地団駄ふんで、古本屋の袖に武者ぶりついた。
あとには固い本だけが残った。私は、当分、狐つきが落ちたような顔をしていたが、やがて母親から小遣いをせびっては、町の本屋へ行って一冊二冊と買い集めた。おもに翻訳小説だった。岩見重太郎や八犬伝は、すでに卒業していたからでもあるが、翻訳ものの世界の方が、くらべものにならぬほど、おもしろかったからであった。中でも、昆太利物語には、夢中になった。
主人公のコンタリー・フレミング(これを昆太利・布令民と書いてあった)が悪玉たちの計略におちいり、いろいろと艱難辛苦するが、知勇をふるって政敵を倒し、父の大臣を助けて外務次官となり、花のベニスで美しい令嬢と結ばれる。岩窟王などと同類項の冒険痛快小説なのである。
その昆太利が、政敵と、いよいよ対決の場面まで読み進んだ時、この本もまた取り上げられてしまった。古本屋へ売られたわけでないが、二度と私の手に帰って来ない。