Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
岡本綺堂先生の半七捕物帳のよさは、筋をはこんでいる中に、桜さく御殿山や、二十三夜の湯島台が、ありありと、まぶたに浮かんで来る。明治の寄席の名人たちが、正にそれと同様で、藍をぼかした江戸の空や、一人一人の人間像を、見事に浮彫りして見せてくれる。
たとえば、円馬の十八番の「富八」である。千両の富くじに当って、家に帰って女房に「おい。千両だぞ」というような言い方はしない。
最初にまず、当ったことだけを小出しに話す。女房が浮き浮きして「三十両かい。うれしいねえ。それだけあれば大きな顔して年が越せる」と喜ぶのを、
「三十両ばかりじゃ、ねえやい」と叱る。
「あら、じゃあ、五十両? ありがたいねえ、五十両ありゃあ、私は……」
「ちがう、違う。もっと上だ」
「じゃ、百両かい。運が向いてきたんだねえ。本当に」
「ちがうってば。百両じゃないんだよ。もっと、もっと、お前……」
と、ここまでは息もつがずに盛り上げてきて、さて女房が「なにをいうんだよ。その上は千両じゃないか。千両富なんぞが、私たち風情のところへ……」と、相手にしないで、そっぽを向く。
「ば、ばかッ。そ、その、千両。