Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
「鼻うたまじりで書くというのは、何と、大したものではないか」
と、まじめに、ほめ上げてくれたのには、キモをつぶした。
私が、鼻うたといったのは、つまり心境をいったのであって、どこの世界に、鼻うたまじりで書ける化けものがいるだろう。調べる苦心。筋立ての苦心。トリック算出の苦心。起承転結に一分のすきもなくまとめる苦心。それらは、いわなくとも分っている。鼻うたといったのは、無暗に芸術ぶる人や、名匠苦心談を、必要以上に売りものにする人への、私のささやかな皮肉なのだ。
名匠苦心談というものが、私は何よりもきらいである。満足に三度のものに、ありついて、一つの芸事を仕上げるのに、仇やおろそかの心掛けは、ないはずである。あえて芸術とはいわないが、一つの芸を仕上げるのに、おれだけが、彫心鏤骨の苦心をしているとうぬぼれるのは、自分だけが熱烈な恋愛をしていると思いこむのと同様な低能である。
捕物小説を職人芸だといった人がある。いった方では、痛烈無比の罵倒のつもりであったのだろうが、私は、むしろありがたくきいた。芸術家を特別の人種であるかのように誤信して、世間さまを睥睨するよりも、広重であり、バッハであり、益子焼であり、モーツァルトでありたい。