Japanische Klassiker mit Furigana
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こどうひゃくわ
胡堂百話
野村 胡堂
Lesen Sie 胡堂百話 (こどうひゃくわ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.386 Zeichen · 248 Bildschirme
提督である。
戦争の運は悪くても、海軍部内で有名な豪傑だ。六尺豊かの偉躯に、白地のゆかたを裾短かに着て、未練気のない一分刈りの頭。挨拶が済むか済まないのに、
「近ごろの新聞は、なっちょらんぞ。あんなことを書くのは、よしたまえ」
初夏の風の吹き通る十二畳の日本間。水盤に、河鹿が二匹飼ってあった。
「では、何を書いたら、よいのです」
「忠臣孝子の事蹟を書きたまえ」
「忠臣孝子?」
「そうじゃ。昔からたくさんあるではないか」
どうも調子がおかしい。わざわざ鎌倉まで怒鳴りつけられるために来たわけではない。だが、話しているうちに、だんだん分った。提督は、「帝範臣軌」を読んだばかりのところなのだ。誰からか、帝範臣軌の話をきいて、東京中の古本屋を四日間捜し回って、やっと見つけて通読した。そして大いに感激したところへ、私が行ったというわけである。
話が分れば晴風光月である。
「新聞記者は、なかなか偉い」
急に百八十度の転回をしたから、今度は、薄気味悪くなった。提督は、私のおもわくなんぞは歯牙にもかけず、
「いや、全くえらいものじゃ。新聞記者も日本人じゃ。今日は、その話をしてやろう」