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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

の仕事(二十枚)終ったのでした。だから、二十五日からきのう迄半月、全く眼玉グルリグルリで、それでも、半徹夜は六日の晩ぐらいでした。それでもちました。朝からやって、午後休んで、夜は夕飯後から十時すぎぐらい迄ウンウンやって。一日平均十一枚小説をかいたのは未曾有です。理研のレバーがこんなにきくのでしょうか、又実によくのみましたけれども。体力がへばらなくて、それでやれたという感じは初めて。夜ふかしを余りしなくなったききめだとすると、随分あなたはおえばりになるでしょうね。多賀ちゃんの功績も甚大です。あのひとのおかげというところも多々あります。ですからきのうは原稿とどけてから銀座の方へ二人で出て、夕飯をたべ、九時すぎかえったら、あの雨の音でしょう? ゆうべのいい心持で眠ったことと云ったら。ゆうべは十時半ごろ眠って、すぐ眠って、けさは九時半まで一本の棒のように眠りました。このねぼうはあなただって下さる御褒美と思いながら、ホクホクして。

ああ、でもそういえば、私は二十五日よりあとにもう一つぐらい手紙さしあげているでしょう、「合せ鏡」という題のことかいた覚えがあるのですが。