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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
十一月十一日
きのうは朝五時におきて、『改造』へ「板ばさみ」というものをかき(十枚)(今日の女が労働と家庭との間で、どんな板ばさみになっているかということ)それから佐藤さんにつれてもらってあすこの学校の公開にゆき、十二時にかえってから夜までお客という状態でした。そのような忙しいのに公開を見たのは、佐藤さんが自分の専攻の部の特別展を一部にやっていて、いろいろ珍しい標本だの何だのあるというし、我らの細菌をまのあたり見参してその正体も見てやりたかったし、それで出かけたわけでした。くたびれたけれど、いろいろ面白かったわ。細菌ばかりでなく、学生(ああいうところの)の気分というものもすこし感じられて。ああいうテクニカルな学校と教養というものの欠乏についても感じたし。科学精神が陶冶されていなくて医者がどんなにつくり出されつつあるかということ、ポスターやらその他の趣味でまざまざと語られて居りました。
細菌のところで検微鏡の下にあらわれた細菌は、まるでタンポポのわた毛がとんだあとの短く細いしんのようなものね。こんなものね。大きさも(鏡の下での)この紫色に染め出されたが、あんなに活躍するとは何と妙でしょう。