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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
五月十二日
五月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
五月七日 第三十三信
今昼すこしすぎ。間もなく人が来ます、日大芸術科というところに創作科というのがありますかしら。そこの女のひとが記事をとりに来るのです。もう女の子六つを下にして三人の子供のあるひとです。いろいろ生活への疑問から学校に入ったのですって。ものをかきたいと思って。そういう一生懸命な心持、しかも何だかすこし勘ちがえのところがあるようなのは気の毒です。自由学園出で、御亭主も初めはその気でハニスムにしたがい、一緒にジャガイモの皮もむいていたのですって、そしたら満州へ行って四年役人暮しの間に一変してしまった由。
それは一緒にジャガイモの皮をむくのも結構ですし、ハニのところに通っているような金持の息子がアゴで女中を使わないようにしつけるのはいいけれども、大人の現実生活としてジャガイモの皮を一緒にむくよりも、もすこし本質的なことで一緒にやれることもあるのだし。あの学校の教育の機械性が女を妙なかたいもの、皮相のものにかかずらわせてしまうのね。そういうところへ生活の協力の目安をおくなんて何て卑俗でしょう。