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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
十一月十三日
図書館、本当に可笑しかったこと。全部で三冊よ、私の送ったのは。上野、大橋、日比谷。明日は芥川の「河童」について伺います、どこに書かれているのか。
十一月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十一月十三日 第七十八信
お手紙(十一日づけ)ありがとう。きょうのお手紙は本当にいい手紙です。何だか酸素のたっぷりした空気、オゾンのゆたかな空気が鼻腔から快く流れ入るような感銘です。これはほんとにいい手紙です。
そして、それにつけ、これと逆な感じを受ける気持や場所やを考えると、妙な気がします。文壇的知識人というものが、歴史的な知識人としての皮膚の新陳代謝をおくらしてゆく過程が――そして其はやはり現実の、或は目の前の身すぎ世すぎからの敗北として、同時に自分自身の旧いもちものへの敗北として――こんなに明瞭に示され感じられるというのは。
ほんとにこれはいい手紙です。
新しい文学が潮流としての存在をなくしたことについての考えかた、そのもののつづきとして「形式と内容」がとりあげられているところがあります。過去の業績の正しい評価を示さず、かかれているということは、云われているとおりですね。