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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
九月十二日
もとよりそういう階級(富商)の若いものとしてはそうかもしれないが。午後から序文をもって実業之日本へゆきますが、途中でボオーボオーに出会うと電車をおりて軒下に入らなければなりません。門の前にバケツ、タライ、砂、むしろが置かれています。
九月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
九月十二日 第六十二信
十日づけのお手紙、その前の分、ありがとう。
前にかかれている生活のことについての話は、私もそう理解してよみました。現実に私は、あなたのおっしゃるとおりの心持で話していたのですから。そして、本筋のこととして、あれは本当だということもほんとうね。
このお手紙(けさついた方)やっぱり、私もくりかえしくりかえしよみます。私のかいた点が意外ではないということはうれしい、うれしいと思います。僕も昔から考えているのだから――昔から考えているのだから――昔というのはいつでしょう。昔というのはいつだったのでしょう、そう考えて何だかあわてたような気になります。
ほら、動坂の家でね、私たちは、自分たちの新しい生活のために仕事が少しでも遅滞してはいけないと思って、随分辛がりながらよく夜中おきては仕事いたしましたね。