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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
九月十四日
九月十六日夜
九月十四日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(モーアランド筆「救助」の絵はがき)〕
九月十四日
きのうときょうは秋晴れらしいいい天気ですね。うれしい報告いたします。やっぱり糖は出ていません。可愛いわね。私のこの丸っこい体。その内のからくりは、案外に精良なのかもしれませんね。糖がないということは一番うれしいことです。うれしいから一寸ハガキかきます。
稲ちゃん呉々もよろしくと。微熱を出して居ます(稲ちゃん)大切にしなくては、ね。
九月十六日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(ジオラマ筆「墨堤より鐘紡を望む」の絵はがき)〕
九月十六日夜。まだ九時半ですが、すこし疲れ、もうねて、あした一寸そちらへゆけるようにしたいと思っているところ。熱中して一葉の補をかいて居ります。なかなか面白い。そしてね、一息かいて、椅子の背にもたれるとき、ああ今一寸そっち向いて、向いたところに顔があったら、と思います。寿江子がいてもかけるけれど、どうかしらなど思いながら。ほんとにどうかしら、この頃なら、ね。
九月二十四日(消印) 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
九月二十三日 第六十三信