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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

九月三十日

ああ一頁、一頁。やっと十八頁、ごめんなさい。全くこれはつらいわね。血をはくホトトギスよ。全然同情お出来になりませんか、それとも少しはお出来になって? ところどころでは女学校の代数の時間のように切なくなります、あなあわれ。そして、一番私の血肉になったのは「空想より」と「家族」、それから「デュ先生反駁」などであったと思いますというと、がっかりなさること? でも一方から云えば、実に明快ね、なんて云ったら大うそですし、ね。

あした参ります。ではもうねましょうね。又犬が啼いてるわ。

九月三十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

九月三十日  第六十六信

二十八日づけのお手紙、きのう着。ありがとう。

菊さっぱりして、秋らしくて奇麗でしょう。

三省堂の『書斎』御免なさい。あれは、やっぱり出ていないのよ。ずーっと出ないようになったまま、出ていないのです。

二十日の手紙は、お話ししたとおり。二十六日の消印よ。座布団と手紙とは、扱いにおいておのずから違います、ねえ。

きのう、きょうは寒いこと、セル着ていらっしゃいますか。きょうは、女のひとのためのものを二十枚かかなければならないのよ。