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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
十二月十七日
石川達三はバカになるわけです。あんな屑をかきよごして三四万の金がゴロリゴロリと入れば、相場師よりバカになる道理です。もぐらもちの嬉しい心持ってあるかしら、私は長い小説をかかえてもぐりこんで仕事すること考えると、もぐらが柔い泥へ鼻柱をつっこんだときこんな楽しみかしらと思います。
十二月十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
十二月十七日 第八十五信
この雨は雪にはならないでしょうね。いかが? 大変おさむいでしょうけれども。
私は昨夜は只一つも火鉢なしというところで座談会をやって、なかなか珍しい経験でした。これからずっとこうだとすれば、人を招くものは大いに心しなければなりません。洋服のひとは御免下さい、とオーバーきるのよ、でも私はそう云ってコートを着るわけにも行かないのですもの。
きのうは愉快そうにしていらして、私は二重にうれしく、火鉢なしでも、もてたところあり。
実にこの暮はいい暮れになりました、本当にいいおくりものいただいて。
文庫本ね、適当なときに、適切なもので、ずっと「文学史」について云われていた諸点、自分でもいろいろと考えていた諸点はっきりして、確信がついて、何とうれしい気持でしょう。