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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
きょうは、退屈したダルマが手をのばしたり足をのばしたりする絵があるでしょう、ああいう工合で落付きませんでしたね。
音羽へは今夜参ります。片方は留守。「奥様は?」「お留守でございます。」これも夜かけて見ましょう。
かえりに目白の市場で多賀ちゃんののむアスピリンをきいたら、思いがけずバイエルのがあって、六粒七十銭。それでも大いに助りました。座骨神経痛というのは風邪とともにおこるものだそうです。気がつかないでいて、いつか風邪をひいていたのね。昨日は、和泉橋へ行くときからすこし妙だったのですって。スーンと走って痛むのでクサレがひろがるのかと気を揉んだのですって。大笑いしてしまいました。夕飯のあと、私はそれは神経痛だから暖めて横になればいいだろうと云っていたけれども、まるで不安な顔つきをしているので、不安で安眠しなかったりするといけないと思って、佐藤さんに来て貰って、どこか押して、はっきり座骨神経痛と云われて安心してよく眠ったようです。湿布して横になって居ります。食慾もあるから大丈夫。ただアスピリンをのむから、胃をわるくしなければよいと思って居りますが。三四日したら直るでしょう。