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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
きのうの朝おきて何とうれしかったでしょう、風がなくて。三四日お話のほかでしたね。春はこれで閉口です。
きのうときょうは多賀ちゃんのお使者で。私が無理をしていたのではなかったかとおきき下さいましたって? それからきょうは大変御機嫌がよかったって? いろいろそういう話、何度でもくりかえしてききそうになって、ああもう四度目ぐらいだ、やめとこう、と思いなおす次第です。
きものの話ね。長襦袢がもうじき出来ます、昔、アキスにとられておしまいになってから、以来は季節ぬきのものを着てばかりいらしたから今年は、すこしまともなのをお着せいたします。さっぱりした落付いた、いいのよ。私がそんなもの選んだり縫わせたりするのは一つのうれしいことなのだからもうすこし待って着て下さい。四月五日迄に届けますから。
本のこと、きょう、やめていいと仰云ったの一冊十五円だってね。あのリストの皆注文してこれも二冊云ってあったから、マアとびっくりして早速とりけしました。
揃ったらおっしゃった五冊だけそのようにいたします。
ホトトギスというものは、一声をききつけて戸をあけるともう姿は見えないというけれど、一度その空を飛んだことだけはたしかです。