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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
そして、女の真の女らしさで、女をみていますし。女らしさを、男対女、情痴的な面での姿でだけ見るのも私にはバカバカしい。しなをしなければ色気がないという旧式な観念は、まだまだつきまとって居りますからね。私小説でない性格は、たとえ、自分のことを書いたとしても賦与されていなければならないと思います。少くとも私たちの「私」は。そうでしょう?
四月二日の速達は、二日のうちにつきました。あの日は午後からいやな会があって、夜仕事のためにおそくまでそとにいて、くたびれきっておそくかえって来たら、頼んでおいた電話のこと多賀ちゃんが一つもしていないのでいいかげん斜めになったところへあれをよんですっかり情けなくなって、それで猫をしかったでしょう、ということになったわけです。多賀ちゃんを私が叱ったのではないのよ。私があまり困って情ない顔をしたので、多賀ちゃんも責任を感じて、文楽堂へはっきりとした声でデンワかけたというわけなのです。でも、もう文楽堂はおやめです、いそぐ本は。自分たちで結局何度も行くことになったのですもの、はじめからその方がよっぽどいいわ。ですからどうぞ今後は御安心下さい。