轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

四月十九日

こんな手紙は本当にむずかしいこと。心そのままの動きで、咲き立ての花を一枝折って、笑いながらはい、と出して、それで通じるわけあいのものです。

大変何か話したい心持ですね、話さず或はあなたを横にならしてあげたい心持ですね。

数時間つづけて後姿や横顔や声やを眺め、ききつづけるということだけでさえ、何かちがった夜をもたらすのだと思います。こうしていると瞬きするのが自分にわかるのに、あの時間の間、いつ瞬きしたのかしらといくら考えても分らないから可笑しいわね。

私はおでこをぐりぐりぐりと押しつけて心からする挨拶をいたします。

四月十九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

四月十九日  第二十八信

心持よさそうに疲れていらっしゃったこと。安心いたしました。それにきょうは雨はあがりましたが、割合よい日でしたし。

私は灯のついたローソクのような心持でかえって暫くぼーとしていて、それからすこし寝ようとしたのですが、たか子が出かける時間だのお客だのに区切られて眠れず。ぼーとしたつづきのようないい心持です。でもこれでは仕事は出来ず。気持はひとつところへ還ってばかりいて。