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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

でも私の本はそうやすやすとは出ますまい。この間も下らぬデマがあると、雑誌の広告の中ですぐ名も何もふせて、やがてデマとわかって出すという調子ですから。そういう点について、あるスタビリティが商売人に感じられないと、紙のないところを安心して儲けられるものへとゆきますから。それは彼等の打算の心理です。編輯をする人と出版をする人とでは、この点で全く相反したような見解にいて、今日の文化性としてなかなかヴィヴィッドです。文化の面からの必要とか価値とかいうとそれははっきりしているのね。その他の面からのそろばんになると、肩越しに鬼がのぞいている幻想にとらわれるのでしょう、又本当にのぞきもするしね、いやあね。

封建的乱暴さのこと。いろいろ非常にむずかしいのです、ふだん一緒に暮していませんでしょう? いろいろ知らないわけでしょう? それを私が知っているとすれば、それは咲か寿が話したことのわけでしょう、それらのいきさつから、その二人があとで却って妙になるような場合の経験もあったりして。あのひとは昔から私がじっくり腰をすえて二時間もかかって話せば、そのことは十分わかるし納得出来るのです。