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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
何だかなかなか面白い。きょう寿江子来たからその話したら、すぐ「ああ、それはきっと面白い」と申しました。でも勿論いくつもの仕事があるのですから、今にのことですが。武者の幸福とは又おのずから異ったものですから、まあいつかのおたのしみ。
十九日づけのお手紙をありがとう、あれは二十日につきました。小さい離れのことは、お母さんもお考えですが、裏が新しい道路でへつられる予定なの、ですからもう何年かしてその辺の様子がすっかりちがうことが決定してでなければ建てられません。お寺の田ね、あの田とうちの間に小さい溝があるでしょう? あすこを越して無花果の樹の方がいく分入って、ずっと高い道が出来るのだそうです。そしたらひどい埃で住居にはやり切れますまい。
達ちゃん、そろそろ落付いたでしょう。達ちゃんたらね、髭すり道具をもっていないのよ。安全剃刀がないの、不図思いついて、いつかの行李の袋に入って来たのを思い出し、ひとにやるのは私いやですが、達ちゃんだからお下りを特別の思召で使わしてやろうと思って送りました。ザラザラだったら可哀そうだもの、片方が、ね、これも姉さんの思いやり(!)