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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
岩波にさえあるのですからね、というのですものね。
「昭和の十四年間」について、どうかお心づきのこときかして下さい。あれは又五年ぐらいまとめ、ずーっとああいう風にかいて行って(つまり一貫した歴史性に立って文学の移りゆきを見て。文学というものの育つべき方向と、そこからの乖離の姿とをはっきり見て)やがて昭和文学史としてまとめるのを楽しみにして居りますから。ああいう密度でずーっとかかれた文学史があったら、それはやはりそのものによって文学の進んだ程度が示されるものだろうと思いますから。あの仕事なんか、やっぱり永い間のかさなりで出来ているわけです。抑のはじまりは『昼夜随筆』の中にある、今日の文学としての三二―三七頃までの概観と、次はそれをふえんしてかいた百枚の未発表の昭和十二年までの文学史と、その上にあれがあるのですから。十二年の暮かいたのはゲラで十三年一月からストップとなったのでしたが下手よ、まとめかたに一貫したところがなくて。一貫しているが自分のものとなり切っていなくて。
小説の集ったものからどんな印象を得て頂くことが出来るでしょうね。きっと、そこには、こちらにはあらわれていないいろいろの時代的苦悩がきっとまざまざと出ていて又別の感想をおもちになるでしょうと思います。