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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

日本の河童とは果して如何なるものの化で、いかなる時代に出現するというのでしょうか。そういうことをかくのです。いろんなこんなこと考えているから、清潔なギロリの心地よさ! 日本文学における河童(特に近代の)は、決して噴飯ものではないのよ、そうでしょう? 私のかかる野暮は尊重されてよろしいものでしょう? 日本文学に河童が登場するとき、そこには何かの悲劇があるのですから。

「昭和の十四年間」へのサーチライトはまだ輝きませんね。それはいつ閃くのでしょう、たのしみだと思い待たれます。たとえば、このお手紙に云われているシェクスピアの女の歴史的なつながりの点ね、かきながらもうすこし詳しくかいた方がいいなとちらりと思ったところだから、私には、そこへギロリが焦点をむすぶ必然がわかり、二重にためになるのです、いいかナと思ったのに、突込まなかったということが別に一つあるのですから。御気分のいいときあちらもどうぞね。

国民文学ということがいわれ、何故民族文学が云われないか、いろいろの声がいろいろ云いつつ何故それは云わないか、今日の国民文学というものの歴史性の複雑さ。

本当に勉強、勉強。